会社との間でトラブルがあるのですが、話し合いでは解決できません。労働審判という手続きがあることを知りました。どのようなことがらを対象にしているのか、審判とはどのような手続きなのか、弁護士に教えてほしいです。
配信日:2023.03.11

この記事を読むとわかること
労働審判に関する基本的なことがらを解説しています。労働審判が対象としている労使間のトラブル、証拠収集の重要性、労働審判の期日について、説明しています。また、労働審判はどのように終結するのか、個々のケースについても言及しています。
この記事の監修は

いわしろ法律事務所
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目次
労働審判が対象としていることがら
労働審判の申し立ての対象となるのは、労働者個人の会社に対する権利利益に関わる争いです。
賃金に関するトラブルとして、給料未払い、残業代未払い、退職金や賞与の未払い、労働条件の不利益変更等があります。
また、雇用に関するトラブルとして、不当解雇、雇い止め、退職強要や退職勧奨等があります。
労働審判申し立ての流れ
労働審判を申し立てるには、どのような手順をふめばよいでしょうか。
事件の証拠を収集する
どのようなトラブルが会社との間に存在するのかを示すことが大切です。したがって、トラブルに関する証拠を集める必要があります。
賃金に関するトラブルであれば、会社における給与の決定方法に関する資料、自らの労働時間に関する資料、支払われた給与に関する資料等が考えられます。具体的には、雇用契約書や就業規則、勤怠表、給与明細等を集めるとよいでしょう。
また、雇用に関するトラブルであれば、雇用契約書や就業規則、人事評価表、解雇通知書・解雇理由証明書等が考えられます。
申立書の作成、提出
十分に事件の証拠を収集することができたら、次に、労働審判手続きの申立書を作成します。裁判所のホームページに申立書の見本があり、ダウンロードすることができます。
申立書を作成したら、裁判所に提出します。原則として、申し立ての相手方となる会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に提出するのですが、申立人の勤務地が異なる場合、勤務地を管轄する裁判所でも問題ありません。
労働審判の期日
労働審判官1名、労働審判員2名の労働審判委員会が組織され、労働審判が行なわれます。労働審判は、その期日を3回以内と定められています。
3回の期日において、労働者と会社との間において合意できれば、調停の成立によって終了します。合意が成立しない場合、審判が下されます。
労働審判の終了
調停の成立
労働審判において調停が成立すると、合意内容を記した調停調書が作成されます。調停調書には強制力がありますので、合意内容に従わない場合、強制執行の手続きを取ることができます。
審判の確定
労働者と会社との合意が得られない場合、裁判所による審判が下されます。審判が下された日から2週間以内に異議の申し立てがなければ、審判が確定します。審判は判決と同様に強制力がありますので、調停の成立と同様、審判内容に従わない場合、強制執行の手続きを取ることができます。
異議の申し立て
労働者と会社との合意が得られず、審判が下されたものの、その内容に不満がある場合、異議申し立てすることができます。その場合、審判は効力を失い、通常の訴訟へと移行します。
終わりに 労働審判にまつわる基本的なことがらを解説しました。疑問等がありましたら、弁護士に相談する等して解決していきましょう。