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会社を退職したいと上司に言ったのですが、拒否されてしまいました。会社に許可を得ないと、会社を辞めることができないのでしょうか。どのようにすれば会社を退職できるのでしょうか。弁護士に教えてほしいです。

配信日:2023.03.25 労働雇用

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この記事を読むとわかること

会社の退職に関するルールを解説しています。労働者には退職する自由があること、また、無期雇用、有期雇用それぞれについて、退職に関する法規制がどのようになっているのか説明しています。退職届を受け取ってもらえない場合、どのように対応することができるのかといったことにも言及しています。


この記事の監修は岩城 相浩弁護士です。

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目次


1労働者には退職の自由がある


2無期雇用の退職


3有期雇用の退職


4退職の拒否への対応方法



労働者には退職の自由がある

労働者が退職したいと言ったところ、会社が退職を拒否するという話しをよく耳にすることがあります。しかし、会社は、労働者が退職することを拒めるのでしょうか。


労働者には退職の自由が認められています。したがって、会社は、労働者の退職を拒むことはできません。


退職に関する規定は民法に定められています。退職について、無期雇用と有期雇用によって、異なる定めがあります。労働者が法律の定めに従って退職することを会社は拒否することはできません。



無期雇用の退職

無期雇用の労働者とは、正社員等、期間の定めのない雇用契約を結んでいるひとのことをいいます。


無期雇用の場合、会社に対して、いつでも退職の意思を伝えることが可能です。原則として、2週間前に退職の意思を伝えることで、退職することができます。退職する理由等は特に必要ではありません。民法の条文を確認してみましょう。


民法627条1項 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。


就業規則によって、この期間が1か月等に定められていることがあります。しかし、その期間が長すぎる場合、当該規定は無効とされる可能性があります。



有期雇用の退職

有期雇用の労働者とは、契約社員や派遣社員等、期間の定めのある雇用契約を結んでいるひとのことをいいます。


有期雇用の場合、原則として、期間が満了するまで退職することが制限されます。但し、雇用契約を続けることができない、やむを得ない事由がある場合、退職することが可能です。民法の条文を見てみましょう。


民法628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。


やむを得ない事由として、どのようなケースが考えられるでしょうか。例えば、病気や怪我等を理由として、労働を続けることが難しくなってしまったといったような場合が考えられます。


労働基準法によって、暫定措置として、契約から1年を経過した場合、退職することができるとされています。条文を確認しておきましょう。


労働基準法附則137条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。


また、就業規則等によって、無期雇用と同じように、有期雇用の労働者の退職の自由が定められていることも少なくありません。


合意による、即時の退職は可能

もちろん、会社との合意によって、即時に退職することは問題ありません。これは、無期雇用、有期雇用といった雇用のあり方とは関係ありません。



退職の拒否への対応方法

労働者に退職の自由が認められているのにも関わらず、会社が退職を拒否することは少なくありません。このような場合、どうすればよいのでしょうか。


内容証明郵便によって退職の意思を伝える

会社によって退職届が受理をされなくても、退職をするという意思表示が示されれば、法律のとおりに退職することができます。


後になって、退職の意思表示があったのか、なかったのか問題とならないよう、内容証明郵便によって、退職の意思表示をしたことを証拠として残しておくのが望ましいです。



終わりに 会社の退職に関する問題について解説しました。何か疑問等がありましたら、弁護士に相談する等して解決していきましょう。




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